アップルvsサムスン特許訴訟、一部審理差し戻しへ
2015年5月18日、米連邦控訴裁判所は特許侵害訴訟で韓国・サムスン社に損害賠償を求めた連邦地裁の判決を一部審理差し戻しとした。この判決に対して原告のアップル社、被告のサムスン社ともに歓迎のコメントを出している。
(参照:任天堂「ニンテンドー3DS」特許侵害で米控訴裁判所にて損害賠償判決を差し戻し)
控訴栽は、アップル社のスマートフォン関連のユーティリティ特許ならびにデザイン特許への侵害があったことを認定したものの、トレードドレスを希釈化したとの地裁の判決は差し戻しとする決定を行なった。
トレードドレスは、製品やブランドの全体イメージへの知的財産のことで、角が丸い「iPhone」の外観はデサイン特性ではなく機能的な特徴に過ぎないとの見解を示した。
この訴訟は2011年4月に米アップル社が提訴したもので、サムスン社のスマホ製品が同社の特許・デザイン・商標を侵害したとして損害賠償を求めたものである。
米カリフォルニア連邦地方裁判所は2012年8月、サムスン社側に特許の侵害があったと認定、10億5000万ドルの損害賠償を命じ、サムスン社 側はこれを不服として上訴していた。
連邦地裁の判決は、サムスンが、アップル社の特許権2件とデザイン特許権(日本でいう意匠権)3件、トレードドレス2件の合計7件の権利を侵害していると認定し、サムスンがアップルに対して、10億5,000万円ドル(日本円で約1,291億円)の損害賠償金を支払うことが命じられました。
今回の控訴審では、サムスンがアップルの特許権とデザイン特許権を侵害しているという第一審での判断は支持されましたが、トレードドレスに関しては、その侵害については認められないという判断がなされました。
その結果、第一審でトレードドレス侵害に関して認定された賠償金額3億8,200万ドル(日本円で約469億8,600万円)に関しては賠償金額の総額から減額し得るとされ、第一審の裁判所に裁判のやり直しが命じられました。
今回の一連の裁判では、アップル製品を模倣しようと決定したサムスンの社内議事録が決定的な証拠となったようです。そのため、悪意の権利侵害ということで、賠償金額が非常に高額になりました。
知的財産に敏感なアメリカでは、他社の知的財産に対して十分に配慮しなければ、大変なことになるということを示す事例でした。
※この記事が参考になったと思ったら共有してください。